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(2)公的年金制度の危機 ―明らかにされない公的年金の債務超過の実体

 その公的年金制度の危機を、まず計数的に追いかけてみよう。

図表-4 公的年金における保険料収入と給付費(単位:兆円)

    (出典)吉原健二「わが国の公的年金制度」中央法規、から作図

 図表-4に示す保険料収入と給付費は、厚生年金、国民年金、共済年金の合計額である。この図表を見ると、1974年から年金収支が赤字になっている。しかもその赤字額は1985年には年間7兆円、2000年には15兆円と増大しており、年金制度が深刻な財政危機にあることを示している。
 さらに図表-4の公的年金のうちから、厚生年金のみを抽出して図表-5にあげる。

図表-5 厚生年金における保険料収入と給付費(単位:兆円)

(出典)吉原「前掲書」から作図

 これで見ると、厚生年金財政が赤字になるのは1986年以降であり、図表-1における70年代における赤字は、公務員の共済年金に起因している事が推測される。

 さてこのように年金財政が赤字になっているにも拘らず、不思議なことに、年金積立金は増加している。それを図表-6にあげる。
 この間の公的資金の規模は数百兆円という巨大なものであり、その大部分は財政投融資の闇の中に沈みこみ、その一部の自主運用の部分はグリーンピアなどへの投資により垣間見える程度に過ぎない。
 このように巨大なストックとしての年金財政は、長い間、国民から隠されて、不可解な状態で放置されてきたことは、まさに驚くべきことであると思う。

図表-6 公的年金の積立金の推移(単位:兆円)

(出典)吉原「前掲書」312頁から作図

 2007年現在において、「積立金」と称するものは、厚生年金が150兆円、国民年金は10兆円程度である。しかしそれは公的年金のフローの一部にすぎない。
 つまり年金会計におけるストックとフローの全貌が明らかにされていないため、公的年金における債務超過の実体は残念ながら全く分からない






 
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